流転の子
流転の子・愛新覚羅嫮生
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書店で手にした一冊の書籍。 激動の日中史を生き、波乱に満ちた
一人の皇女の半生。 いつまでも心に残る一冊でした。
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建国(1932)から僅か13年で滅んだ幻の帝国「満州国」。
嫮生の父は清朝最後の皇帝(溥儀)の実弟・溥傑、母は日本の天皇
家と姻戚関係にある公家の名門、嵯峨侯爵家の令嬢・浩。 両家の
婚姻は「満州国」の支配をより強固にする為の軍部による政略結婚
でしたが、二人は終生分かち難い愛情で結ばれます。
二歳年上の姉は学習院在学中に学友と天城山中で死亡(1932)、
天城山心中として衝撃をあたえました。
嫮生は生後3ヶ月で母と満州に渡り、僅か5歳の時、中国で終戦を
迎えます。 満州国の瓦解、ソ連軍の侵攻、逃げ惑う移民、自決の
覚悟、通貨大虐殺、日本人狩り等々・・・
周恩来だけは中日友好に対する執念を持ち「皇族一同の保護」を
指示、陰日向になって一族を守り続けました。
ソ連軍に戦犯として拘束された皇帝・溥儀と父・溥傑の消息も分か
らず、母・浩はアヘン中毒の皇后と5歳の嫮生を伴い戦後の動乱の
中、中国大陸を彷徨います。
それは凄惨を極めた1年半にも及ぶ逃避行の始まりだったのです。
*中央公論新社 本岡典子著
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